今日も、恋する電車。
「櫻井、もう少しで学校着くから起きろよ」
「う、ううん」
茜は乱れた髪を整え、保から体を離した。保も心なしか、茜から距離を置く。
わずかにあいた数センチのすきまが遠く感じる。
わずかに残る保の熱が、かえって寂しさを増した。保は茜が降りる駅より一駅前でおりる。
学校に着くまで、まだ何駅かあったが、保がこの駅で茜を起こすには理由があった。
音をたてて、自動ドアがひらく。白いワンピース姿の制服をきた少女が乗車してきた。少女はこげ茶色がかった長いウェーブの髪をなびかせる。
白い手足でゆったりと歩き、二人とは離れた対向線の席に腰をかけた。