今日も、恋する電車。
長いまつげに縁取られたおおきな茶色の目が、何度もぱちりぱちりとまばたきをする。
愛らしい唇に左手をあて、少女はピンク色の携帯をカバンからとりだし、熱心に右手の指を動かし始めた。
ごくりと、茜の隣からのどが鳴る音がした。横を向くと緊張した面持ちで保がじっと少女を凝視している。
少女が、この時間に電車に乗るようになったのは、つい一ヶ月ほど前である。
なのに、保は少女に心を奪われてしまったのだ。
今、となりにいる茜の方を見ようとしない。
保のあまりに熱心な視線に、茜は顔をしかめて、下を向く。
手はいつのまにかスカートの端をぎゅっと強く握りしめ、こまかくふるえていた。
電車の振動にまぎれながら、小刻みに。