7年目の浮気
「加藤くん。」

「ん?どうしたの?」

「加藤くんて、休日何してるの?」

「え、休日?
そうだなぁ。結構、なんもしてないなぁ。溜まった洗濯とか、録画した番組観たり…。
映画とか、レンタルして観たり。

なんか地味だけど。

どうかした?」

「あのね、加藤くん。
わたしって、地味で、真面目なだけの、つまらない女なの。

あの日だって、本当は、

予定なんてなかったの。」

「あの日?水族館行った日?」

「そう。わたし、あの日の前日、彼とちょっと喧嘩してたから、だから…。
加藤くんと出掛けちゃえって気になっちゃって。

わたし、嫌な女でしょ、 ほんとつまらないし、趣味もないし…。」

「俺はどんな理由であれ、篠原さんとデート出来て嬉しかったよ。
つまらなくも、地味でもないと思うけど、俺はそんな篠原さんが好きだけどな…。

もしかしてそれって、俺に諦めて欲しくて言ってるの?」

「…違う。わたし、地味で真面目なだけの自分が前から嫌いだった。
そのくせ優柔不断なの。
今だって、加藤くんを選べないくせに、好きなのをやめて欲しくないなんて、思ってしまうの。」


わたしは何を言っているんだろう。
滅茶苦茶だ。

そう思いながらも、茉莉花は話すのをやめられなかった。

加藤も山本も、急にこんなことを話し出したわたしをどう思うだろう。


加藤は、茉莉花をじっと見つめながら、話し出した。

「あのさ…。」
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