7年目の浮気
「そろそろ行こうか。」

加藤は立ち上がった。

開場は暖色系の照明で、思ったより広さがあった。

正面に大きなパイプオルガンがあり、2階3階席もあった。


茉莉花は誰からも連絡がきていないことを確認し、携帯の電源を切った。


間もなく開演時間になり、少しだけ照明が落ちる。

オーケストラのメンバーがずらずらと配置につき、音合わせをする。


指揮者が入ってくると、開場は静かな拍手に包まれた。


礼をして、メンバーに向き直った指揮者が、大きく手を振り上げた。



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