7年目の浮気
茉莉花が出たとき、芳雄はテレビを見ながらベッドでゴロゴロしていた。


「出たよ。芳雄も入る?」

「おー。」


芳雄は一応返事をすると、立ち上がり、茉莉花を抱きしめた。


「よし、」


茉莉花の唇が塞がれる。


甘いキス。


茉莉花も芳雄の背中に手をまわす。


芳雄は一度キスをやめると、茉莉花を抱きしめたまま、ベッドに倒れた。


押したおされ、身体をまさぐられる。


頭にかあっと血がのぼる。


「あっ、よし、お…。」


芳雄の名前を呼びながら、ふいに加藤のことが頭をかすめた。


途端に恥ずかしくなる。


茉莉花は泣きたくなった。


こんな、こんな中途半端な気持ち、誰にも言えない。


わたしは芳雄に謝ってもらう資格なんかなかった。

自分がこれほどまでに優柔不断だなんて。
< 122 / 163 >

この作品をシェア

pagetop