7年目の浮気
どうして芳雄は、今自分の手を暖めてくれないんだろう。

こんなにいつも会いたくて、必要としているのに。


気付くとベンチに座っていた。

いつのタイミングで買ったのか、加藤はホットの缶コーヒーを茉莉花に渡した。


「あ、有難う…。」

「篠原さん、缶コーヒー飲むことある?
俺ね、普段コーヒーに何も入れないんだけど、何故か缶コーヒーは甘いの飲みたいんだよね。」


茉莉花は加藤がくれたコーヒーに口をつけた。

あったかい。

そして、甘い。


「美味しい…。分かる気がする…。」


茉莉花の目から、またぽたぽたと涙がこぼれる。
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