7年目の浮気
「…泣いたらいいよ。
辛いことは、溜め込むのは良くない。
溜め込んだって目には見えないかもしれないけど、必ず身体のどこかを重くする。」


そうかな。
そうなのかな。


茉莉花は隣に座った加藤の肩にもたれた。

頭がぼーっとする。

加藤からは香水のような匂いはしない。

以前加藤の車の中で感じた、知らない男の匂いがして、更に頭がマヒし、茉莉花から正常な思考を奪っていた。

知らなかった。

知らない男の、彼自身の匂いというものがこんなにエロティックだなんて。

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