エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「あなた、入らないの?」

望は大浴場の方を指差した。

「私はいいです。なんだかまた化粧をし直すのが面倒だし……あっ!谷川さんはどうぞ。」

梓は濡れた髪を拭きながら服を着替える事にした。

望も最初は着替えだけと思っていたが、

―今日は色んな事が有りすぎた………。疲れたぁ。しかし、まだまだこれからが大変だわ。

と気分を変えたくなった。

「じゃあ私、少し入って来ていいかしら!?弥生さんたちはまだ掛かると思うけど、念のためにケータイを持っていて下さる?」

「分かりました。着信があればすぐ教えますから、ごゆっくりどうぞ。」

「ありがとう。」

望はケータイを梓に託すと、服を脱ぎだした。
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