エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
(なんで俺は舞い戻って来たんだろう。あのまま弥生を連れて更に北へと逃げれば良かったんじゃないのか……。俺は最初からこの女に惚れていた。だから助けて逃げたのに……バカだな俺は…)

そんな野田の気持ちを知るのか、まったく知らないのか、弥生は

「まあー今更恥ずかしくもないか!?今までずーっと同じ部屋で寝てたんですからね。…スゴい!もう都内ですね。アスカの場所は分かりますか?」

と話題を切り替えてきた。

―まったく。最後までこの女には振り回されっ放しだったが、楽しい日々だったよ。後は梓に会って詫びたらアレを渡すだけだ。

野田はそう思いながら

「ああ、駅前まで行けばだいたい判るよ。ただし、困ったな〜!俺は中には入れんぞ。」

「あらそうだ!女性専用スパでしたね。私の服着て変装してみます!?」

今度はそう言った本人の弥生が野田の女装を想像して笑いだした。
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