エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
望はスッキリした様子で、瓶牛乳を飲んでいた。

熱めのシャワーのおかげで心持ち頭が冴えてきたようだ。

疲労のせいか、さっきまで少し意識が朦朧としていたのだ。

いつもの温泉での湯上がりの習慣でつい、牛乳をチョイスしたが、元気になるようにドリンク剤でも飲んでおくべきだったかなーと少し後悔もした。

―もう、若くない。

大学生の子供の母親なのだと、鏡に映る自分の姿にがっかりもした。

そんなに失望感を感じさせる程、横にいる和田梓は若くて美しい。

―中条も死に際にこの娘に魅了されたのか?

ただ受精するためだけに肌を重ねた男の事までも思いだして、望は胸が痛くなった。

すると、ケータイのメールの着信を知らせるバイブがブルブルと振動した。
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