ことばのスケッチ
普通の会話であれば、「離婚した原因は何ですか」と、詰め寄るところであるが、それでは無礼講の範囲を超えてしまう。初対面の客に自分をここまで曝け出すのも、私のそうした心が見えたからに違いない。また、自分をある限界内で曝け出すことにより、その人と身近になり、そこに無礼講の世界が開けるのである。
 離婚は、心の葛藤をもたらす。そして、そこから心のバランスが生まれ、涼しげな笑顔として現れる。久しぶりに会った二人の間に、あまり長く居るのは無礼講の範囲を超えると見てか、「何か酒の肴になるものをご用意させましょう」と言って、それと無く席を外した。

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