ことばのスケッチ
ユキは土手を斜めに駆けながら、その女の子の群れを追う。相手は相当に年上であるので、とても群れの中に入れない。駆けている途中で、二三人の女の子の群れに出くわした。今度はそちらの群れに入ろうとするが、きっと近所付き合いの仲間だろう、その堅い群れの中には入れない。ユキが入ろうとすると、その群れは素早く移動する。ユキはその群れを追いかけようとする。レンズを引いてユキの顔をとらえる。おお!仲間外れにされているのに、にこにこしながら追いかけてる!ぴたりと立ち止まった。その群れとは別の女の子の前にいる。その女の子が手にしているボールに手を掛けた。女の子が駆け出す。その後をユキが追いかける。同じところをぐるぐる回る。もう少しと言うところで、その女の子は、母親の傍らに駆け込んだ。ユキは、はたと立ち止まり、ボールの前にかがみこむ。「ねえ、このボール僕のじゃないのよ」と言われても、その意味が判らない。「どうもすみません」と、婆がそこへ行く。どうしてあのボールが取れなかったのか不思議に思うだけで、そこには悔しさと言う不純粋な気持ちはない。