ことばのスケッチ
「ユキ!そろそろカイチに交代して」とママが言う。根性が作用して、ユキはしぶしぶ車から降りた。カイチはそれを待ち構えていたかのように車に乗り込んだ。ユキが譲ってくれたから載るのではない。車が空いたから乗るのである。義理人情という不純粋さはない。ユキはそれを不服そうに見ている。根性と言う奴だ。暫くして、
「カイチ!今度はお兄ちゃんに交代ね」とママが言う。カイチは首を縦に振って車から降りた。強い奴に従っただけである。ユキは暫く遊んだ後に車から降りた。そして、カイチが素早く乗った。
「まあ!ユキ偉いわね」と婆が言う。ユキはにやりと笑顔を見せた。
「さすが、お兄ちゃんだ!」と、ママも追い打ちを掛ける。不純粋さの芽が摘まれて、根性が芽生える。ユキは気をよくして、ブロックの建築に取り掛かった。カイチはそれを見て車から降り、ブロックの傍らにちょこんと座る。
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