ことばのスケッチ
どれぐらい経ったのだろう、なんだかお尻の方がべとべとして目が覚めた。手足を動かしてみたが、このべとべとが取れない。母の胎内にいた時にはこのようなことはなかった。一体このべとべとは何だろう。足を動かしても取れないので、このべとべとを早く何とかして欲しいと「オギャーオギャー」と声を出してみた。
「あら、起きてしまったわ」
「まわりがあまりうるさいからよ」
「テレビの音を下げて」
「籠を揺らせてみたら」
「駄目だよ、泣き止まないよ」
「ママ、すっかり起きてしまったみたい」
「きっとお尻が汚れているんだわ」
胎内にいた時の匂いがかすかにしたかと思ったら、急に両足を摘み上げられた。お尻のほっぺたになんだか軟らかい物が触って、べとべとが取れた。いたたまれない気持ちがなくなった。
「あら、起きてしまったわ」
「まわりがあまりうるさいからよ」
「テレビの音を下げて」
「籠を揺らせてみたら」
「駄目だよ、泣き止まないよ」
「ママ、すっかり起きてしまったみたい」
「きっとお尻が汚れているんだわ」
胎内にいた時の匂いがかすかにしたかと思ったら、急に両足を摘み上げられた。お尻のほっぺたになんだか軟らかい物が触って、べとべとが取れた。いたたまれない気持ちがなくなった。