ことばのスケッチ
案の定、客先からクレームがついた。電話の向こう側の様子が手にとるように判る。
暗闇は馴れると、人間の生理的な現象で辺りがぼーと見えるようになる。誇りと肩書きで反り返り、足元が見えないのは、誇りと肩書きを捨てない限り、人間の生理的な現象は現れないから始末が悪い。従って、提灯で進むべき道を照らしても、提灯の方に足が向かう筈がない。怪我をして気付いてくれればよいがと思っても、一歩も前に進まないのであるから怪我もない。「先生様」と言えば有頂天になる。せめて反り返った体が後ろに倒れないつっかえ棒になるなら、それでバランスさせる以外に道はない。
毎日毎日列をなして担当者が先生様のところにやってくる。メモ用紙の果てまで先生様の印鑑を頂きに来る。先生様は繁盛して、仕事が一杯になり、仕事をやっていると言う実感に満足している。
「先生様お疲れでしょう」
「うん、疲れるね」
「仕事の量を減らしたらいかがなものでしょう」
「そうだね」と、先生様は初めて同調する。
長年築き上げてきた客先との信頼関係の糸が、あちらこちらでプツリプツリと切れはじめ、依頼される仕事の量が減ってきた。
暗闇は馴れると、人間の生理的な現象で辺りがぼーと見えるようになる。誇りと肩書きで反り返り、足元が見えないのは、誇りと肩書きを捨てない限り、人間の生理的な現象は現れないから始末が悪い。従って、提灯で進むべき道を照らしても、提灯の方に足が向かう筈がない。怪我をして気付いてくれればよいがと思っても、一歩も前に進まないのであるから怪我もない。「先生様」と言えば有頂天になる。せめて反り返った体が後ろに倒れないつっかえ棒になるなら、それでバランスさせる以外に道はない。
毎日毎日列をなして担当者が先生様のところにやってくる。メモ用紙の果てまで先生様の印鑑を頂きに来る。先生様は繁盛して、仕事が一杯になり、仕事をやっていると言う実感に満足している。
「先生様お疲れでしょう」
「うん、疲れるね」
「仕事の量を減らしたらいかがなものでしょう」
「そうだね」と、先生様は初めて同調する。
長年築き上げてきた客先との信頼関係の糸が、あちらこちらでプツリプツリと切れはじめ、依頼される仕事の量が減ってきた。