神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
「しかし右大臣様、私が管理する陰陽殿には鬼達を相手できるほどの術者はおりませぬ。
この私ですら使役出来るのは前鬼と後鬼のみ…鬼対鬼では分が悪いと思われます。」


晴明は視線を右大臣と呼ばれる男に向けると、率直な意見を述べた。

そして晴明の意見を聞いた右大臣は髭をなでながらしばらく考えてこう言った。


「ふむ、お前でも討伐は速やかに応じられぬと申すか…。
ならば仕方ない、そこは頼光に頼むとしよう。
この菅原道真に頼まれれば嫌とは言えまい。」


自らを菅原道真と名乗った右大臣は、一つ頷くと晴明達に占術の準備に取りかかるようにと命令した。


その命令に二人は再度頭を下げて返事をすると、帝の部屋を後にした。
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