神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
帝の部屋を後にした二人は大きな溜息をついた。
そして廊下を歩きながら相談を始めた。


「相変わらず帝の前では息が詰まるな…。
村上天皇に力を認めていただいてから、今の花山天皇に至るまで信頼していただき、感謝をしているものの…やはり堅苦しい雰囲気は好まぬ。」


頭を振りながら疲れた様子の晴明を見て、隣にいた葉明は頭の後ろに手を組んだまま呟いた。


「晴明がそんな事言うなんて意外だな。そこらの役人より出入りしてるんじゃないのか?」


何食わぬ顔でそう言った葉明を恨めしそうに見つめながら晴明は言った。


「それはお前がいつも召集に気づかずに出遅れるからではないか!
代わりに何度呼ばれた事か…。」


それを聞いた葉明は申し訳なさそうな笑みを浮かべて頬を掻いた。
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