神楽幻想奇話〜荒神の巻〜
それから二人は、帝から占いを頼まれた際に使用する占術の間にやってきた。

部屋の中はお香の匂いが仄かに染み付いており、中央には占いに使う火をおこす台座と、地面に描かれた術式が異彩を放っていた。


部屋に入った二人は扉を閉じると、同時に右手を挙げた。


「準備は良いか、葉明?」

「そのまま返すぜ、晴明。それじゃあいくぞ?」

『じゃんけんぽん!』


パーの葉明にグーの晴明…。
ガックリと膝をついた晴明に向かって葉明が笑いながら言った。


「がっはっは!今回も俺の勝ちだな!面倒な占術は任せたぜ?」


「くっ…また私の番なのか…占うのは良いが準備が面倒でかなわんというのに…。」


晴明は悔しそうに自分の拳を見つめていた。
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