ワンダー・ランド
はぁ…………
あたしは部屋から出た。
しかし彼等はあたしが出ていったのを関係なく揉めていた。
部屋を出て長い長い廊下を歩き自分の部屋に向かう途中
「亜理子様ッ!!」
後ろから慌ただしく泰造がやってきた。
「泰造…??どうしたの??」
走ってきた泰造は膝に手をあて息を切らしながら
「たった今……高光お坊っちゃまが……」
と青白い顔で言った。
「…………ッ!?」
同時にあたしの顔も青白くなる
高光……………
あたしはあの男が大嫌いだ………。
「早くお部屋に避難してください。わたしは彼を出来るだけ食い止めますゆえ」
そういい泰造は急いで元の場所へ戻った。
高光がなぜ…………
あたしは泰造が去った廊下を見つめた後、早足で部屋へと向かった。
ガチャリ
「玲於(れお)ッ!!」
あたしは部屋に入ってすぐに扉の鍵を閉め、玲於に抱きついた。
玲於とは、見たことがない不思議な色の猫で、彼女のペットであり大切な友達でもある。
「……高光が来たって」
あたしは玲於を撫でながら呟くと玲於はピクッと反応した。