苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「お待たせしました」

いつから、給仕係の仕事を買って出るようになったのだろうか。
ごく自然に、清水がココアを差し出す。

「ありがとう、清水」

言った後、俺は興味ありげに大きな瞳で俺を見上げる都さんに視線を移す。
にこり、と笑う顔に俺がかなうわけがない。

「熱いから気をつけて」

俺は、マグカップを彼女に渡す。

「……次期総長。いけません」

清水が止めるのは、きっと、都さんのカロリー計算でもしているからなのだろう。
でも、たまにはいいじゃない。

「お兄ちゃん、ありがとうっ」

満面の笑みで彼女がそう、俺に言ってくれるなら。
ちょっとくらいカロリーオーバーになったからって、構うものか。

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