苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・衣装1(09.05.19)

衣装で5のお題

1.真新しい背広


「おはよう、ユリア」

甘いキスに、重たい瞼をあげる。
真新しい黒いスーツに身を包んだキョウが、絶対的支配者であることを隠さない眼差しで私を見下ろしていた。

「……な、に?」

私は瞳をこすりながら、頭を巡らせる。
今日って、何曜日だったっけ。

どうして、キョウは朝早くからこんなに素敵な背広に身を包んでいるの?

「もう忘れたのか?」

呆れたような眼差しで私を見た後、ふっと微笑んだ。
そのギャップに私の心はドキンと跳ねる。

「仕方が無いか。
 ここの空気はユリアには重すぎる」

そうして、優しい手つきで私の頭を撫でる。

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