苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「早乙女さん、お待たせしました」

まるで、時が1分遡ったかのように、なんでもない顔で担任が私の名を呼ぶ。
金子さん親子は、にこやかにお辞儀をしながら、隣を歩いていく。

「あ。
 母が急に来られなくなりまして」

私はあわてて言い訳を始める。

「代理で来ました。
 ユリアの婚約者です」

……はぁ?

丁寧な口調でとんでもない発言をされた私は、文句を言おうと斜め上を見上げる。

「そうでしたか。
 どうぞ、お入りください」

しかし、担任はどうやらそのシチュエーションをあっさりと受け止めてしまったようで。
っていうか、あれですよね?

先生、今、キョウに見蕩れてますよね?



かくして、ほとんど内容のない個人面談が始まってしまったのである。
いつの間にか熱い、夜の約束すら交わした後で。



ああ、もう。
悪魔なんてやっぱり、だいっきらいなんだからっ!!

Fin.
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