苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・ファンクラブ(09.05.16)

「アヤ。
 曲順変えようと思うんだけど」

教室で後輩のライブを見ていたら、私の肩を叩いて、ヒコがそう言った。

「……はい?」

私は慌てて立ち上がった。
二人で、煩い教室から外に出る。

外は外で、残暑の日差しがまだ強かった。

突然の明るさに、一瞬目が眩む。
よろける私を面倒そうに支えながら、ヒコが呆れた声を放った。

「いい加減になれれば?
 この明るさの変化に」

「煩いなー。
 苦手なんだから仕方ないじゃん。
 っていうか、どうして今更曲順変えるのよ。
 次の次だよ?
 他のメンバーは?」

数ヶ月前まで、互いに別のバンドを組んでいた。
ボーカルやってたヒコと、キーボードをやっていた私。
なのに、何故かヒコは私の歌声を気に入ってくれて、急遽バンドを組むことになったの。

だから、この夏は結構一緒に練習したわ。
私がボーカルで、ヒコはギター。
他のメンバーを集めるのは造作なかった。

うちのサークルはバンドの掛け持ちOKなので、こういうとき都合がつきやすい。

「全く問題ないってさ」

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