苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・友情と恋情の間5(09.06.03)

友情と恋情の間で10のお題

5.付き合ってるの? って訊かれて


ばさり、と。
鏡の中の私の髪が、潔く切られて床に落ちていくのを切ない気持ちで眺めていた。

いまさら、止めてくださいとも言えない。
せっかく腰近くまで伸ばした髪は、肩につくまで短くなった。

「シャンプー、楽になるよ」

鏡越しに目が合った馴染みの美容師さんがにっこり笑ってそう言った。

……でしょうね。

「それにしても、今度の彼氏、優しいじゃない」

「……え?」

こっそり囁かれて、私は思わず首を傾げそうになる。

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