苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
コイツは彼女を作らない主義なんだから、さ?

男である君が、彼と付き合えないのと同じくらいに。
私にも、彼となんて付き合うことは出来ないのよ。

言語化するのも面倒で、肩をすくめてあいまいに笑って見せるので精一杯。

「うん、心配じゃないよ」

「俺は心配」

「……何が?」

私はヒコに目をやる。

「ミックスジュースって、フルーツ以外に砂糖もたくさん入ってるんだぜ?
 あんまり重くなりすぎると、お前が酔いつぶれたときに介抱してやれる自信がなくなるんだけど」

……そこ?
  心配するべきは、そこですか?

ふぅん、と。
私は意地悪く笑う。

「じゃあ、筋トレして鍛えておいてね。
 ノブヒコくんっ」

「はぁ?
 分かった。じゃあ明日から一緒に走ろう。
 朝6時に集合」

「どこにあつまんのよ。
 ってか、ヒコが起きられるわけないじゃんーっ」

「じゃあ、うちに起こしにこいよ」

「面倒ー。ってか、ほんと、どこまでずうずうしいわけ?」


いつものように、たわいない軽口から、二人の口喧嘩が始まるのを、なぜか友香と彼のツレは羨ましそうに見ているのだった。

Fin.
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