苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・衣装3(09.05.27)

衣装で5のお題

3.慣れない着物

「ユリア。
 花火大会に行こう」

相変わらず、雑誌からの情報に余念がないキョウは、夏休みの宿題に追われてうんざりしていた私に、そう、声をかけてきた。

楽しそうな誘い、断るわけもない。

「うん、行くっ」

「じゃあ、これに着替えて?」

差し出されたのは、ピンクと白の配色が可愛い、金魚柄の――浴衣。

「……あの、浴衣って、どうやって着たらいいか、わかんないんだけど――」

戸惑う私の髪を彼は、梳くようになでる。
そうして、艶やかな紅い唇でそっと囁いた。

「脱いで、ユリア――」

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