苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
「そう。
 それは、毬の力が強くなったという証かな?
 良かったね」

その責任の一端は、どう考えても、毎晩のように彼女を抱いている自分にあるというのに、龍星はまるで他人事のようにそう言った。

「良くないっ」

涙を帯びた上擦った声は、龍星に昨夜の秘め事を思い出させる。

「では、ずっと傍に居るって約束してくれる?」

「するに決まってるじゃないっ
 もう、龍っ。
 意地悪しないで、助けてよっ」

これ以上放っておくと、本当に泣き出してしまうだろう。
龍星は、何事か唱えてからパチリと指を鳴らす。

そうすると、猫たちは催眠術にでもかかったかのように、一匹ずつゆるりと庭から出て行く。

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