君だけのために
そして結局、京君の迫力に負けた私は、自分の居場所を京君に教えてしまった。
だって怖かったし、それに説明するって言ってた説明ってやつ、聞きたいし。
ってかさ、普通は京君が血眼になって私を探して‘見つけた’とか言うんじゃないの?
ヒロインを脅して、居場所聞き出すなんて前代未聞だから!
もっとさ、甘くしてくれたっていいんじゃないの?
そう、頭で考えていると
「沙弓っ!」
京君が、到着したみたいだ。
あぁ、これもありかもしれないです。
私の所まで汗だくで走って、ちゃんといるって安心した姿。
どんなヒーローにも負けない、私の大好きな人。
息切れしている呼吸を、なおしながら京君は近づいて来た。
私、馬鹿かもしれない。京君の姿見てるだけで…心臓の音が早くなる。
駄目、今日でお別れなのに…その瞳で私をそんなに見ないでよ。
離れられなくなる、すがりつきたくなるから。