君だけのために
「沙弓…」
駄目、これ以上、京君が私に近づいたら抱きついてしまう。
「駄目!そこから近づいてこないで!」
すがりついちゃ駄目、甘えたら駄目だから、京君からは卒業するの。
「だったら、そこからちゃんと聞け」
だからなんでそんなに、えらそうなわけ?
「今日はごめん。」
京君は私にむかって頭を下げた。
やっぱり、浮気なんじゃん。説明したいとか言って結局、嘘か。
「いいよ、別に。京君も男だもん。色気ある大人の人がいいよね。」
私には色気ってものがないし、胸も普通よりは小さい…。
そんな私を抱くより、色気もあって、胸も大きい人抱くほうがいいに決まってる。
「あのさ、俺が謝ってるのは今日ドタキャンしたこと。」
「………は!?」
なんで浮気したことじゃなくて、ドタキャンしたことに頭を下げてるの?
もう、京君がわからないよ。