Love Short Story's

・恋を知ったシンデレラ

高校生にもなると、周りの友達は色気づいて彼氏なんていつの間にかできちゃっている子が多い。たまに耳にする惚気話も何だか微笑ましい。

記念日には、何か特別な事を。
誕生日には、彼や彼女のプレゼントを。
バレンタインには、愛を込めたチョコレートを。
ホワイトデーには、愛のお返しを。
クリスマスには、お互いでプレゼント交換を。
そんなラブイベントだって、私からして見ると輝いて見える。

手を繋いで帰る恋人達、楽しく笑い合いながら過ごす恋人達、相合傘をして恥ずかしそうにはにかむ恋人達、初々しさが伝わる恋人達。
どれも、これも私にとっては未知なる世界と言っても過言ではない。


「麻衣子は彼氏つくらないの?」


こんな友達からの質問は聞き慣れている。
毎日という程、聞いてくるので返事は毎回決まって「つくらないよ。好きな人いないから。」だ。
そう言うと友達は「えー、つくりなよ!楽しいよ。」などと言った言葉が返ってくる。

恋が楽しいものなのかなんて恋をした事がない私にとっては、わからない事だ。


「ねぇ、恋ってそんなに楽しい?」


今度は私から質問。いつも質問されているから、たまには質問するのも良いだろう。


「うん!楽しいし、毎日がドキドキワクワク!」


それは、良かったね。と返したいが止めておこう。
こんな友達を見ていると多少は恋というものをしてみたいと思うが、恋がどんなものなのか、恋とはどんな事が恋なのか、さっぱりわからない。
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