ダンデライオン
思わず、目を見開いた。
目の前にいる、阿部が…あたしを?

「ずっと、お前と…キスしたかったんだよ。いつもお前を見てた。電車乗ったら1番に西條を探した。授業中はいつも西條の背中を見てた。…好きなんだよ、お前が!」

「、阿部…」

あたしは、あんたの想いを受け取れない。
あたしは、阿由葉を裏切れない。

「ごめんなさい…あたし、阿部のこと、そういう風に見れない。」

逃げるように走った。
その角を右に曲がったら、阿由葉が泣いていた。

「阿由葉、」

阿由葉はあたしをちらっと見て、涙を拭いて横を通り過ぎた。
阿由葉の長い髪があたしの頬を掠めた。
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