ダンデライオン
「危篤の妻を無視してこんな女のところに行くなんて…随分素敵なクリスマスイヴだっただろうな。」

悠斗くんのお母さんの命日は…イヴだったんだ。
みんなが笑顔で大切な人と過ごす、その日が最期だなんて…。

「…悠斗、俺は最低だな。」

「ああ。母さんが、惨めだよ。こんな男が旦那だなんて。」

悠斗は震えてた。
悠斗はきっと、お父さんが憎くて憎くて、たまらないんだろう。

奥さんより、愛人を選んだ父が。
奥さんの最期より、愛人との時間を選んだ、父親が。


あたし…目の前にいる、悠斗のお父さんに同情できない。
< 165 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop