流星


……それでも、いつまでも黙っていられるわけがなくて、兄貴が死んだことを知った星奈は悲しみの涙を流した。

笑顔は、見れなくなっていた。



それから、星奈は俺の存在を忘れる。

俺を兄貴の代わりにして、俺の名前を呼ぶことは、なくなっていた。


「あのさ、――健」

「……え?」

「なに?どうかした?」

「…健、って……」

「変なのー、健は健でしょ?」


「健」は兄貴の名前だよ。
俺は「勇人」だよ。


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