Stand by・・・
「買って帰る途中であの道を通りかかってさ、土手の上の桜がきれいで、見惚れちゃってたんだ。あ、そういえばこの場所、柊に呼び出された場所だって思い出したら、なんか懐かしくて、それで・・・嬉しくなっちゃって。それで気付いたらどっかあん、だよ。バカだよね、私」


刹那の言葉一つ一つが、おれの感情を高ぶらせる。

死なせたくないという想いを強くさせる。


おれは何も言わず、夢中で車を飛ばした。



しかし、刹那の声は少しずつだが、小さくなってきていた。

彼女はそれに気付いていないようだ。

元気がないとはいえ、彼女が意識的に小さくしているとは思えない。


考えたくないが・・・魂が消えかかっている、ということなのだろうか。
< 39 / 53 >

この作品をシェア

pagetop