DESTINY-忘れられない人-
「だめですか?」
おどけたような表情の高森勇介。
「別にいいけど」
かわいげのない返事しかできない私。
心の中では、もう高森勇介とのデートの場面が思い浮かんでしまっていた。
「本当ですか!!じゃあ、これ連絡先です。厚かましいですが、ここにメールください。今晩、仕事終わったらお電話します!!」
ポケットから名刺を出し、その裏に書かれたメールアドレスを指差した。
そして、他の乗客にバレないように小さな声で『ありがとう』と言い、去って行った。
電話、かけてくるんだ。
大人しそうに見えて、案外積極的じゃん。
てか、私のどこが気に入ったんだろう。
いきなり気分悪くなって倒れた女。
それに、元気になったら別人のように生意気だし。
趣味悪いな、高森勇介。