季節外れの卒業旅行
竜也と瑞希の推理
「竜ボン、イライラすんなや
あの場で他殺やって言ったらどうなる?
犯人が誰かわからずに、恐怖と隣り合わせで、何の罪もない人たちが傷つけ合うだけや
警察が来てから、専門職に話せばええやろ」

瑞希が俺の部屋に訪ねてくると、口を開いた

俺はベッドに座ったまま、煙草を吹かす

瑞希は隣にある未使用のベッドに、勢いよく尻を落とすと両手を広げて寝転がった

「俺も他殺やと思っとる
だが…犯人はわからん
推理は苦手や
人を疑うのも好きやない
だが、あの二人が不憫や
どんな理由で殺されたかは知らん
もともとロクでもない人間やったかもしれへん
でも殺される理由ならへん
人が人の命を奪うなんて許されへん行為や」

瑞希の目が鋭くなる

起き上がって膝を抱えた瑞希が、拳を強く握りしめた

「絶対に許さねえ」

瑞希の声とは思えない低いトーンだった
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