†Orion†


「おにいちゃん、だあれ?」



大きな瞳を丸くさせ、奈緒ちゃんは俺をじっと見据える。


困ったな。

俺、子供の扱いって慣れてないんだよな。



「お兄ちゃんは……、お母さんと同じお店で働いているんだ」



突っ立ったまま、奈緒ちゃんを見下ろすようにして、俺は言う。

奈緒ちゃんは口を真一文字にキュッと結ぶと、それ以上のことは訊かず、優菜さんの後ろにスッと引っ込んでしまった。



「あれ……、嫌われた、かな?」



かなり優しい口調で、しかも満面の笑みで答えたつもりだったのに。

いったい何がいけなかったのかな。

それとも奈緒ちゃん、照れてるのかな。


優菜さんの腰にしがみつき、目だけを覗かせながらチラチラと俺を見る奈緒ちゃん。



< 148 / 359 >

この作品をシェア

pagetop