†Orion†
「話すときは腰を折って、子供と目線が合うようにしなきゃダメよ」
クスクス笑いながら、優菜さんは二番目の子供を紹介する。
「こっちは、さくら。二歳。」
「………ふぇっ……」
さくらちゃんに至っては、もうどうすることもできない。
いきなり現れた見ず知らずの男を見て、すでに泣き始めているし。
「さくら、泣かないの~」
優菜さんの後ろに隠れていた奈緒ちゃんが、さくらちゃんに近寄り、頭を撫でている。
あぁ、なんか俺、悪者みたい。
泣かせたのは俺じゃ……
いや、俺か。
故意に泣かせたわけじゃないけど、さくらちゃんが泣き喚く理由は俺しか思い当たらない。