†Orion†


さくらちゃんは、俺を危険人物と判断してしまったのか。

俺とのあいだに、完全なバリアを張ってしまった。


一方の奈緒ちゃんは……



「おにいちゃん、玉ねぎ食べれるー?」



時間が経つとともに次第に慣れてきて。

保育園のあとに立ち寄ったスーパーでは、どこぞのアニメ番組の主人公の口調をマネして訊いてくるほどになっていた。



「あ、それ、“エンピツしんちゃん”のマネだろ? そっくりじゃん」


「ほんとー? でもねー、パパはにてないっていうんだよ!」



奈緒ちゃんは、ふっくらしたほっぺをさらに膨らませて言った。



「そうかなぁ。目を閉じて聞けば、しんちゃん本人と間違えるくらいなのにな」



……なんて。

本当は、そっくりとは言いがたいモノマネなのに。


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