†Orion†


一緒に保育園に行ったのも、“母親”であることを俺に再確認させるため。



――なんて残酷なんだろう。

でも、優菜さんの気持ちも分かる。

このまま俺が、叶いもしない恋に溺れるのは、俺自身のためにはならないのだから。



テーブルについた旦那さんは、優菜さんの作ったご飯を食べ始める。

俺は旦那さんと向かい合わせに座り、コーヒーを飲む。

優菜さんは、キッチンで後片付けをしていた。



「そうか、三年生かぁ。じゃあ、これから卒論で忙しくなるな」


「……はい」


「卒論のテーマは決まった?」


「いえ、まだ……」


「あんな面倒なものは、さっさと済ませた方がいいぞー?」



旦那さんは、とても気さくな人で。

初対面の俺に、いろいろ話をしてくれた。


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