†Orion†
「あの、旦那さんは……」
「おいおい、“旦那さん”なんて呼び方やめてくれよ。“浩平”でいいよ。なんなら、“浩ちゃん”でも」
冗談を言う余裕さえも持ち合わせている。
あぁ、これが大人ってもんなのかな。
いちいち嫉妬したり、勘ぐったりしないんだな。
「じゃあ、“浩平さん”」
「なんでしょう、雅人くん」
「浩平さんの卒論のテーマって何でした?」
「俺は理学部の天文学科だったから、宇宙に関することだったな」
「……専門分野ですか。すごいなぁ」
プラネタリウムで働く浩平さん。
大学で、すでにその道に進むことを決めていたんだ。
俺とは大違いだ。