†Orion†
俺にとって浩平さんは、たまらないくらいに苦しい存在だ。
この人がいなかったら、俺は躊躇することなく、正々堂々と優菜さんを好きだと言えたのに。
もっとも――……
逆の受け取り方をすれば、この人がいたからこそ、俺は優菜さんと出会えたわけで。
浩平さんと優菜さんが結婚しなければ、彼女が今の店で働く確率なんてゼロに近かったのかもしれない。
彼に対して、嫉妬心さえも芽生えていきそうなのに。
人柄なんだろうか。
浩平さんとの会話は、俺の醜い心を簡単にねじ伏せてしまう。
優菜さんが奈緒ちゃんたちと風呂に入って、二人きりになった今も……。
俺と浩平さんはリビングのソファに腰を下ろし、笑い声さえも上げながら会話を楽しんでいる。
とても不思議な感覚に襲われながら、俺は、浩平さんがなぜ、プラネタリウムの解説員という職を選んだのかを聞き入っていた。