†Orion†
「……浩平さんも優菜さんも“親”なんでしょう? 最優先するのは、子供じゃないんですか?」
「………」
「浩平さん、さっき……優菜さんが俺を好きで、俺も優菜さんを好きだって、言ったけど……。誤解ですよ」
きっと――……
奈緒ちゃんたちと会うことがなかったら。
俺は、こんなこと言っていなかったかもしれない。
優菜さんを俺に任せる、と言った浩平さんの言葉に。
きっと、即答していた。
“分かりました。俺が幸せにしてみます”
だけど、あの日。
帰宅した浩平さんに駆け寄っていく奈緒ちゃんたちの姿を目の当たりにしてしまったから……。
俺は平気で、優菜さんを好きじゃないとまで言えるんだ。