†Orion†


あぁ、完全に誤解されてる。

ただの友達なのに。



「へぇ……、なるほどねぇ……」



呆然と突っ立っている俺に、弘美は顔を覗き込みながら言う。



「あの人でしょ。雅人の好きな人って」


「は? そんなわけねぇだろ」



ムキになって否定する俺の顔は、きっと真っ赤になっているに違いない。

顔じゅうが、そして耳までもが、瞬時に熱くなるのを感じた。



「でも、どう見ても主婦、だよねぇ」


「主婦だよ、主婦。俺が主婦を好きになるはずねぇだろ」


「あら。好きになるのに理由なんてないわよ」


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