†Orion†


「いや、友達っていうか……」


「今日、五時に面接予定の、森尾です」



しどろもどろになっている俺の前に、弘美はズイ、と歩み出て自己紹介する。



「あぁ、あなたが森尾さん。店長から聞いているわ。斉藤くんのお友達だったんだ」



そう言って微笑む杉浦さんの表情は、あきらかに“何か”を期待しているように見える。



「そうです、友達です。ただの」



友達だと意地になって強調する俺。

杉浦さんは聞き流すように「はいはい」と笑い、店長を呼びに事務所へと行ってしまった。



< 48 / 359 >

この作品をシェア

pagetop