†Orion†


伸びたままの右手をキュッと握り締め、杉浦さんに気づかれないようにそっと下ろした。



「……謝らないでくださいよ。ハッキリ言わなかった俺も悪かったんだし」



気まずい空気をこわすように笑うと、杉浦さんはようやく顔を上げてくれた。



「うん。本当に、ごめんね」


「ほら、また謝る」


「あ……」



なんだかおかしくて、俺たちは顔を見合わせて笑った。




< 58 / 359 >

この作品をシェア

pagetop