†Orion†
「じゃ、あたしも着替えてこよーっと」
俺の隣にいた弘美も、荷物を持ってバンガローに向かう。
「……料理長。一緒に泳ぎましょう」
あっという間にみんないなくなり。
ポカンと口を開けたまま突っ立っている料理長の肩を、俺は慰めるようにポンポンと叩いた。
「……俺、泳げないんだよな」
料理長はポツリと呟くと、自分のバッグから浮き輪と空気ポンプを取り出す。
泳げないのは店長も同じだったらしく、彼もまた、料理長と同じように自分の荷物から持参した浮き輪を取り出していた。