my First boy last boy.





「…家に居たんじゃねぇの」


“その人”は、聞いたこともないような冷たく低い声で、あたしを見つめてくる。


そこには、怒りや悲しみが含まれているように思えた。




「家に居るっつーから、まだ時間あるし一応来てみたら……今まであいつと居たわけ?」



はっ、と自嘲的に笑う春に、あたしは何も答えられずにいた。


それが、春には肯定のように思えたのだろう。

間違ってはいない。確かに、そうだから。


ガン…ッ!と音がしたと思ったら、春の手からは真っ赤な血が流れていた。



「…っんだよそれっ!人がっ…どんだけ、心配、したと思ってんだよ!!」




泣いちゃいけない、

早く手を手当てしなきゃ、


そんなことを考えるのだけど。



涙はいうことを聞かず、込み上げて来て、あたしの視界をぼかしていく。




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