紫黒の瞬き
「森で暮らすのも良いが、ジンとアサガは仕事で家を空ける事も多い。
ここなら私もずっと居る。それに使用人たちも居るから寂しくはないだろう。」

「………」

「ここに居てもあそこに居るのと同じ様に、人目に触れるという事は少ない。」

押し黙る私に「どうだろう?」とコルタは続けた。

「無理にとは言わない。あそこで生活したいのであれば、それは構わない。
一度、考えてみてはどうだろう?」

これは、コルタが独断で提案しているものなのだろうか、それとも…。

私はすぐに返事をするべきなのかもしれない。

しかし、直も零れそうになる涙を堪えてジンを垣間見るが、その表情からは何も窺い知れる事は出来なかった。

「………考えさせてください。」

私はこう呟く事しか出来なかった。




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