【短】ふたりぼっちの乾杯
すぐにあなたは戻ってきた。
手にはコーラの缶。
まるで乾杯するみたいに、あなたはそれを水槽にぶつけた。
そうしてコーラを飲んだあなたの顔は、笑っていた。
目を細めて小さなえくぼを作った、わたしの大好きな笑顔。
嬉しくなって、また餌を食べた。
――おいしかった。
「うまい、な」
うん、おいしい。
あなたと一緒なら、おなかいっぱいでもおいしい。
なんだって、おいしい。
ごくり、とあなたの喉が動く。
あなたが笑うのが嬉しくて、嬉しくて。
あなたとごはんを食べるのが幸せで、水の中を踊った。
明日もあなたが、おいしくごはんを食べられますように。

